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2016.05.13 11:22

初めての舞台。沢山頂いた熱い空気。

osada0513.jpg
ども、おさだです。


悲しいお知らせと同時に、思い出が沢山蘇ってきたので、少し書かせてください。

2012
8月。
埼玉の稽古場で、蜷川さんの演出する舞台
「シンベリン」の稽古を見学させて頂いた所から始まりました。
とにかく何もわからない俺は、ピリッとした稽古場の空気に圧倒されたのを覚えています。
そして演じている俳優さん達のエネルギーに圧倒されて帰宅した事を覚えています。

それからしばらくして、
「トロイラスとクレシダ」への出演が決まって、もちろん初舞台だ!という嬉しい気持ちがとても大きかったんですが。
それの4倍、不安が襲いかかってきました。

芝居を初めて3年程。
自分は自分なりに演技の勉強してきたつもりでした。
でも、あの稽古場を見たら
正直、「俺には出来ないんじゃないか」と本当に思ったんです。
稽古が始まっても、先輩達が早く来てウォーミングアップしているのに
俺はどうしても早く来て、アップする事が出来ませんでした。
なんか、全てが怖かった。
取り組むという事が、映像の仕事と違って
やり方がわからなくて、そんな事になってる自分に自信が無くて、怖かった。

蜷川さんが怖いとか
先輩達が怖いとかそんな事は全く無くて

こんな大きな舞台で、もしかしたら自分は何も出来ないかもしれないって不安を持ちながら
稽古してる自分が本当に情けなくて怖かったっていう事で。

でも、たった1日で、蜷川さんのたった一言で
そんな事は頭から吹き飛んだ日があって。

「いい!もう鎧着なくていいから!脱げ!!
裸になってやってみろ!!」
パートナー役の先輩と2人で裸で舞台に出た時、みんなが笑ってくれたんです。

その瞬間、全てが怖くなくなって。
その日から取り組む事が楽しくて仕方なくて。
男性キャストしかいないから、学生に戻ったみたいに、くだらない話を先輩に付き合ってもらったり、時には、蜷川さんが古い海外の演劇のビデオを流してくれて、解説してくださったり、役について稽古が終わっても語り合う。

俺が根本的に間違えてたのは

始まる前から、稽古が終わってからもずっと
「稽古」は終わらないんだ。
終わらなくていいんだって事。
それから毎日、ほぼ始発で稽古場に行って
「おっしゃ!!今日は絶対一番乗りだ!」って思っていても

もうすでに小野武彦さんが1人で芝居していたり。俺は自分が一番乗りだと思って居たから、ちょっと情けなくなって、変な顔をしていると

「おお、オサダおはよ。暑いね今日も。」と言いながら舞台に戻って行った小野さんが

もうね、最高にかっこよかった。

稽古場入る3分前の自分が恥ずかしかった。笑

千秋楽は、自分でも笑ってしまうくらいに鼻垂れるほど泣いてしまいました。笑

それくらい思い入れが大きかったんです。
大きくして貰えたので。

エネルギッシュで、ちょっとお茶目で、俳優の想像の先を行く演出家さんでした。
その分、体調を崩されたと耳にした時

どんなにパワーのある方でも、精神力だけではどうしても吹き飛ばせない事もあるんだという事実が、とても悔しかった。


体調を崩される前に一度、稽古場にお邪魔した時、「元気でな!頑張れよ!」と言って握手してくださったのが、お会いした稽古場。
それが最後でした。

だから精一杯自分が出来る表現は、ビビらずに
出し続けなきゃいけないなと。

俺なんかが出来る事は、まだまだ小さい。だからこそ
「そのサイズでも最大を出さなきゃ全てに失礼になる」

それを一番教えて頂いた気がします。

本当にありがとうございました。

そして本当にお疲れ様でした。

ご冥福をお祈りします。




長田はもっともっと頑張ります。




長くなりました。



また連絡します。


せーや。