日本殉情伝 おかしなふたり ものくるほしきひとびとの群
introduction
「ひとりとひとりはさびしくて、ふたりになればくるほしい。」
「物語の少女にあこがれていた。仮りにその名を夕子としよう――」
大林宣彦監督自身のナレーションにより、尾道連作、大林監督作品群の集大成が、コミカルにかつ切なく綴られた、詩情溢れるエンタテインメント。
原作は「コミック・モーニング」(講談社刊)に連載され、講談社漫画賞を受賞した(作)やまさき十三(画)さだやす圭による人気劇画「おかしな2人」で、大林宣彦自身が映画用に脚色。映画の記憶の街、尾道を舞台に、狂ほしいまでの恋物語と様々な人々の人生模様が展開される。
主演は、大林作品の常連三浦友和、さらにいまやVシネ界の帝王となっている竹内力が、大林監督の分身とも言うべきキャラクターをコミカルに演じている。
さらに永島敏行がピアニストを夢見て果たせなかったヤクザを好演。それらの中心に輝く永遠の女・夕子を南果歩が演じ、徹底した静の演技で、その魅力を発揮している。また、往年の邦画界を沸かせた水島道太郎のゲストスターとしての出演や、まだデビュー前のKANが音楽を担当するなど、新旧取り混ぜて、大林流活動大写真に豪華な味付けがなされている。
商業監督進出10年を迎え、キャッチフレーズであった“A MOVIE”の終焉を謳うこととなった、大林映画の中でも重要な位置を占める作品となっている。
story
自称“20世紀の大天才”山倉(竹内力)は旅人となって海辺の町にいた。そこでタフな肉体と精神を持つ室田(三浦友和)と知り合う。金貸しの彼は変な発明ばかりしている山倉に投資しては、いつも失敗していた。室田は幼ななじみのヤクザ成田(永島敏行)も交え、妻・夕子(南果歩)の過去への嫉妬に悩み、一方山倉は彼女に亡き母の面影を重ね合わせていく…。
cast & staff
監督:大林宣彦
製作:山本又一朗
プロデューサー:阿部信夫
大林恭子
原作:やまさき十三
さだやす圭
「おかしな2人」(講談社コミック・モーニング)
脚本:剣持亘
小倉洋二
薩谷和夫
大林宣彦
撮影:長野重一
美術:薩谷和夫
照明:望月英樹
音響:林昌平
音楽:KAN
出演:
竹内力(山倉修)
永島敏行(成田和美)
南果歩(夕子)
原 泉(おせん)
正力愛子(紅子)
浅川奈月(さやか)
大泉滉(正田仁佐衛門)
浦辺粂子(車中の老婆)
坊屋三郎(映天坊)
内藤陳(魚谷)
広瀬正一(浜の勝造)
加藤嘉(金山/特別出演)
大前均(坊主)
加藤春哉(新聞社社主)
小林のり一(与太)
栩野幸知(河童)
峰岸徹(着流しの男)
尾美としのり(殺し屋)
宮城千賀子(おたか)
水島道太郎(水城龍太郎/ゲストスター)
三浦友和(室田幸男)
production
上映時間 109分
製作国 日本
公開情報 劇場公開(アートリンクス)
初公開年月 1988/03/29
製作:(株)フィルムリンク・インターナショナル
配給:アートリンクス(株)