唐十郎の言葉

Words of Juro Kara

廊下で昼寝をしていたら、メリーポプキンズの『悲しき天使』で起こされた。
僕はこの曲の終わりに聞こえるバックの少女コーラスが大好きで、
それを耳にした時もそうだった、判っきりと燃える町が見えたのです。
それは、関東大震災の頃、風呂屋の娘だった僕の母が、
ドンブラコと煮えくり返る熱湯の上に板っぺらを渡して、
行こか戻ろか思案にくれていたという話と一緒こたになりまして、
二日で書きなぐったのが「少女仮面」であります。

唐十郎(1973年 角川文庫 あとがき より)

唐十郎プロフィール

profile of Juro Kara

劇作家、演出家、小説家、俳優

1940年東京生まれ。明治大学文学部演劇学科卒業。
63年「シチュエーションの会」(翌年「状況劇場」に改名)を旗揚げ。日本のアンダーグラウンド演劇をけん引する存在となる。
67年「腰巻お仙-義理人情いろはにほへと篇」を新宿花園神社境内で上演し、紅テントの活動を開始した。
69年「少女仮面」で岸田戯曲賞を受賞。
88年の解散まで数多くの作品を発表し、日本を代表する劇作家、演出家として時代を担った。
88年状況劇場を解散、劇団唐組を旗揚げ。
03年「泥人形」で紀伊国屋演劇賞、鶴屋南北戯曲賞、読売文学賞を受賞。
横浜国立大学、近畿大学、明治大学客員教授を歴任。
82年小説「佐川君からの手紙」で芥川賞を受賞。

唐十郎

演出家ノート

notes

僕たちは当たり前のように自分の肉体が在り、名前が有り、社会的存在保証がある、と、思っている。
しかし、それらが本当に〈ある〉とどれだけの人が言い切れるだろう。
いかに早く、安く、楽に他者とコミュニケートできるか。
そのことに一番の〈価値〉が見出され、直接的コミュニーケーションが〈煩わしさ〉という汚名とともに地位を下げ続ける情報化社会の中で、どうやら僕たち自身の〈ある〉という感覚すらも、とても怪しく、疑わしい〈情報=データ〉でしかないような気がしてくる。

元宝塚スター・春日野八千代は、すべてをむさぼり取ろうとする少女ファンたちに自分自身を与え続けた結果、己の肉体の在り処すらも見失ってしまった。
そんな彼女が彼女自身の〈ある〉を獲得するため愛と肉体を求めるその姿を、ただの〈狂気〉と言い捨てるには、あまりにも現代社会全体が〈狂気〉にまみれすぎているように思える。

唐十郎が1969年に生み出した『少女仮面』には、現代(いま)だからこそ迫ってくる切実さが満ち溢れている。今回はこの作品を、現代を生きる僕たちの〈実在〉のための物語として、クールかつスタイリッシュに描き出したいと考えている。

杉原 邦生

演出家プロフィール

杉原 邦生(すぎはら くにお)
演出家・舞台美術家

1982年東京生まれ。KUNIO主宰。京都造形芸術大学在籍中より、演出・舞台美術を中心に活動。
国内外の骨太な戯曲の本質を浮き彫りにしてみせると同時に、観客の予測を裏切るような挑発的な仕掛けや、
ポップでダイナミックでありながらも繊細な演出で注目されている。
2004年プロデュース公演カンパニー“KUNIO”を立ち上げる
歌舞伎演目上演の新たなカタチを模索するカンパニー“木ノ下歌舞伎”には、
2006年5月『yotsuya-kaidan』(作:鶴屋南北)の演出をきっかけに、
2017年5月まで企画員として所属。
『三人吉三』では「2015年読売演劇大賞上半期作品賞」にノミネートされるなど、話題作を発表してきた。
外部演出作品に、東京芸術劇場+ホリプロ『池袋ウエストゲートパークSONG&DANCE』(2017年|原作:石田衣良)、 2017年から三年連続で、歌舞伎座 八月納涼歌舞伎『東海道中膝栗毛』(構成のみ/演出:市川猿之助)を担当し、 今年10月「スーパー歌舞伎オグリ」を猿之助と共同演出。11月にはKAAT×KUNIO「グリークス」が控えている。 2018年(平成29年度)第36回京都府文化賞奨励賞受賞。
http://www.kunio.me

杉原 邦生

キャスト&スタッフ

cast & staff

美術:杉原邦生 照明:齋藤茂男 音楽:国広和毅 音響:鈴木三枝子
衣裳:山下和美 ヘアメイク:小林雄美 ドラマトゥルク:稲垣貴俊
演出助手:神野真理亜 舞台監督:田中政秀
制作:米田基 票券:熊谷由子
プロデューサー:佐藤政治 安部菜穂子 鳥居紀彦 笛木園子(fuetree)
エグゼクティブプロデューサー:山本又一朗

公演概要

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トライストーン・エンタテイメント
TEL:03-3422-7520(平日12時~17時)

主催
トライストーン・エンタテイメント
トライストーン・パブリッシング
提携
公益財団法人せたがや文化財団
世田谷パブリックシアター
後援
世田谷区

●託児サービス(定員有・要予約)
料金:2,000円 対象:生後6か月以上、9歳未満(障害のあるお子様についてはご相談ください)

●車椅子スペース(定員有・要予約)
料金:一般料金の10%割引(介添者は1名まで無料)

申込:ご希望日の前日19時までに03-5432-1515(世田谷パブリックシアターチケットセンター)へ

チケット

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